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こわ~い話 3

娘の手紙は本物ではないと思いました。手書きの手紙だったのですが、筆跡が全然違います。娘の筆跡はチマチマ小さくて、読みやすい字です。とても上手とは言えないけれど、それは親に似たからで仕方がありません。手紙はそれ以上に下手で、読みにくい字でした。目が覚めてから、偽物だと気づいたけれど、ゾッとしたのはスーツケースの中に「きれいな」箱に入れたカードたちの存在をなぜ知っているかです。ケースの鍵も掛かっていました。ドアの鍵も掛かっていました。中を透視したのでしょうか。そんな馬鹿な。(当時の私は、ある種の人間が、その手の力を持っていることを知りませんでした。)部屋に入ったのだ。鍵も開けたのだ。
箱の中身を全部出し、別の箱に移し替えながら、カードを拾い読みしていきました。夢の前には、全部お棺に入れて焼こうと思っていたのだけど、たとえ夢でも「返して」と言われると、返さなけりゃいけないような気持ちになるものです。そうだ、あの手紙だけもらって後は残そうと一つの手紙を探しました。それは私がアメリカへ日本語教師として発つときに、「飛行機に乗ってから読んでね」という言葉と共に渡されたものです。言われた通り、乗ってすぐ読みました。目に涙が滲み、転がり落ちました。辺り構わず涙は転がる。隣の席の人がそっと見てるのも構わず、私は泣きました。そこには私への想いが詰まった文字が並んでいたのです。私たちの疎遠になっている状態を元に戻したかった。「でもあまりに遠くなりすぎて、どうしていいかわかりませんでした」そして最後の方に、「私はママが大好きです」という文字が(正確ではないけれど)書かれていました。これを早く見せてくれたらアメリカなんかに行かなかったのに。素直になれない母娘でした。双方で突っ張って。その手紙だけがなぜでしょう、見つからないのです。それに、と突然思い出しました。今朝の夢に出てきた手紙。そこにそっくりのフレーズがあったではありませんか。「あなたが大好きだということは嘘ではありません」鍵は開けられていたのです。かなり前から、テープレコーダーがなくなり、また出てきたときには、壊れて録音できなくなっていたり、中身が消されていたり、もう「誰か」が勝手に部屋を見たり、いじったりしていることは間違いないように思われました。大事な手紙は盗まれたのでしょう。

そして、その夜、真夜中に「死亡!葉子・晶子さま!」と言って廊下を走り抜けた女がいました。いえ、走ったかどうかはわかりません。今となれば、音だけを走らせたのかもしれないのです。これには、私は仰天しました。連絡がつかなくなっている娘の安否をどうして掴もう。思い切って電話しました。奇跡のようにつながりました。「葉子ちゃんよね?葉子ちゃんよね?」沈黙。「今変な女が廊下であなたが死んだって言ったから………」「そういう電話の方が怖いんだけどね」つっけんどんな返事でしたが、向こうも私の様子がただならぬことを感じたのでしょう。「手紙なんか書いてない。誰にも託したこともない」という返事をもらって私は涙声になって「よかった。よかった」と繰り返しながら電話を切りました。妹の安否はメールで確認。

それにしても、と私は熱い怒りとともに思います。私の痛手を大きくするために、予め娘の手紙を読ませておくなど、なんと卑劣な行為だろう。あの手紙がなかったら、通り一遍の嫌がらせ。でもこれは違う。悪意に満ちた計画的な陰謀だ。私の心をもてあそび、打撃を与えてほくそ笑む奴ら。
このことがあってから、私はすべてに警戒感を持って臨むようになりました。内部に協力者が、それもかなりの人数がいることもわかってきました。誰も信頼できず、部屋にこもる日が多くなりました。
さて、この事件が起こっている間に、たまたま回っていたレコーダーが捉えた音は何だったでしょう。壮大な陰謀の始まりでした。

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Author:borobear
父が婚約者の母に贈ったイギリス製の熊。昔はピカピカに可愛く輝いていたのに、今や薄汚れてボロ熊に。私も老人ホームで薄汚れ。同じボロなら居直って、なりふり構わず踊らにゃそんそんという具合に、仲良く生きています。

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