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こわ~い話 2

ストーカーが死んで、その部屋の片づけが始まりました。実は、実に実に偶然なことから、それも彼の死の3日前から、私が部屋でレコーダーを掛けっぱなしにすると、何と遠く離れた彼の部屋の音が入ることがわかりました。廊下に出ればもう廊下の音しか聞こえない。でも、それは確かに彼の部屋の音でした。だって、前の日から始まった彼特有の咳が聞こえたから。そうか、仕組みはわからないけど、彼と私の部屋は何らかのラインでつながっているんだろう。「癖になりそう」なんて笑いながらレコーダーを時々回して放っておいたりしました。

やっぱりどこかの部屋に深夜怖い声を送る装置があったのです。彼の部屋の片づけのとき、引っ越し屋さんの、うんと若い少女みたいな子が話してくれました。「ねぇ、この部屋に機械なかった? ラジオみたいなもんだと思うけど」 少女は目を剥くようにして言いました。「あった、あった。いっぱい。」そして、両手を段ボール箱の大きさに広げ、「コードがこ~んな箱いっぱいあった。何してたんだろうね。(頭をツンツンと指で叩き)ここがよっぽどよかったんだね」。コードの長さと頭の良さが果たして比例するものかどうか考えたけど、何となく納得して頷いてしまった。確かに何かが敷かれているのだ。この後それはどうなるのだろう。全部取り払ってくれるかしら。
その夜、私の部屋の床下で、ガリガリという音がして、何かが撤去されたように思いました。

ところが、それから始まったのです。ベッドが揺れ、眠れない。そのボンヤリした半覚醒状態で、いろんな言葉が聞こえてくるんです。さっき診療室で医者に言ったこと。彼は良いドクターでした。私の独特の病気(化学物質過敏症・低周波音障害)で大抵の薬が飲めないことを知って、それでも眠れないのはいけないと、何種類もの薬を試してくれていました。自殺を恐れたのでしょう。たった5日分。私はその日、先生に言ったのです。「私は大丈夫ですよ。免許の更新をしようとか、パスポートの更新しようとか思ったりするんですから」

その夜、夜中に数人の男女が話している声を聞きました。一人の男が苦笑しなから言いました。「何で車なんかに乗るんだ」。次の診察時、私が机の下やら、その周辺を見回したのは言うまでもありません。盗聴器があるんじゃないかしら。
やがて、夢はどんどん膨らみ、ある夜、半覚醒状態で長い娘の手紙を読まされました。無理にというのではなく目の前にあると読まざるを得ないのです。文字ばかりで読み上げがない。私は夢中で文字を追いました。早く読まないと消えてしまう。こんな具合の手紙でした。「あなたは死なないでください。私が死にます。でも、その前に、私が今まで送ったカードや手紙をきれいな箱に入れて返してください。あれには大きな嘘と小さな嘘が沢山書いてあるのです。返してくれなければ死ねません。でも、これだけは嘘ではありません。あなたが好きでした。大好きでした。箱を……」
目覚めた時の私の気持ち、揺れました。ちょっとした行き違いが重なって、疎遠になっている母子。涙がこぼれました。それとは別に恐怖もありました。私は自分が死んだ後に残すもの(他人には無価値。でも我が家の大事な記念品が入っています)。それをスーツケースに入れて鍵をかけ、娘が来たら渡してくれとホームに頼んであるのです。その中に娘の手紙は入っていました。きれいな箱にリボンを付けて。

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父が婚約者の母に贈ったイギリス製の熊。昔はピカピカに可愛く輝いていたのに、今や薄汚れてボロ熊に。私も老人ホームで薄汚れ。同じボロなら居直って、なりふり構わず踊らにゃそんそんという具合に、仲良く生きています。

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