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ハエ vs ハエ取り紙

でも、時すでに男のボートは、脈ありと見て爆走を始めていました。時々私が個室や共用部分のリフォームから出る化学物質が、将来的に大分多くなりそうだとためらうと、彼はすぐさま説得を始めます。まるで、お父さんが小さい子共に噛んで含めて宥めるように、猫撫で声で、ネチネチ、ネチネチと。出発点から始まり一周して出発点へ。それを何度も繰り返すわけです。まるで壊れたレコードみたいだ。
それでも私は納得していない様子。
「ねぇ、ボロベアさん、そんな先のことまで考えたってしょうがないじゃないですか」
「バカ言っちゃ困ります。そうなったら苦しむのは私なんです。あなたは痛くもかゆくもないでしょうけど。本人が心配するのは当たり前じゃないですか!」
すると彼は、またさっきの説得を1周でも2周でも始めます。元来せっかちな私にとって、こういう説得術は拷問に等しいのです。警察の取り調べ室で疲れ果て、「私がやりました」と言ってしまう犯人のように、「もういいや」という気になっちゃうんです。何でもいいからボートから降ろしてくれ!

「私ねぇ、何だかハエ取り紙にくっついたような気がするよ」 友達にボヤキました。
「ハエ取り紙」知ってますか。昔、魚屋さんなどが商品にハエがたからないように、店先に何本もぶら下げていた、ハエを捕まえる帯のような、今でいえばゴキブリホイホイを紐にしたようなものです。
「やめれば? 後で後悔しても遅いんだから」
「でも、我が家の大規模補修が近いからさ。もう後に引けないんだよね。それにセールスマンが嫌だからって、やめるのも変じゃない。大体、身元引受人もなし、死んだらお骨にして、お宅のお墓に埋めてくださいなんてこと、聞き入れてくれるとこ滅多にないのよ」

「こちらの大規模補修が近いようだから、それが済むまで入れません」「はい」
「部屋のリフォームも最小限にして、入居はその後、半年待って下さい」「はい」
「もし、私がホーム内のリフォームなどで気分が悪くなって部屋にいられなくなったら、ロビーとか、どこか空いている所で休んでもいいですよね?」「はい」
その他、たくさんの「はい」をいただいて、私は入居を決めました。彼と出会って2年後のことでした。
今まで続いた緊張が解け、ほっと気が緩みました。いい所があってよかった。

ハエ取り紙の勝ち!


  ハエ取り紙は、最終段階で、ハエにとって大好物に変身成功したようだ
ハエ








プロフィール

borobear

Author:borobear
父が婚約者の母に贈ったイギリス製の熊。昔はピカピカに可愛く輝いていたのに、今や薄汚れてボロ熊に。私も老人ホームで薄汚れ。同じボロなら居直って、なりふり構わず踊らにゃそんそんという具合に、仲良く生きています。

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