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体験入居

入居を決める最終段階に、体験入居があります。ここが下調べの山場です。自分の目で、耳で、体全体で内部を観察できる唯一の機会です。
まず、泊めてもらう部屋は、自分が入る予定の部屋にするのが一番いいのです。部屋の位置によって、聞こえる音が(ゴミ収集車の音・前の道路の車の音・駐車場の音など)、日の当たり方が、周囲の風景が、上下左右の部屋からどんな影響を受けるか、など数え切れないほどの大事な情報が得られるはずです。

ところが、これができないのです。今まで、それができたのは、例の良き営業マンのいるホームだけでした。化学物質過敏症の私は「自分の部屋」で寝てみなければ良し悪しを判断できないという知識が彼にあったゆえの特別配慮からでした。
普通は、布団の用意・部屋の掃除など余計な手間がかかるのと、安全のために、ゲストルームに泊まります。お風呂もついていますから、ホテルに泊まったのと同じです。

食事のとき以外は、部屋に籠っていてもいいのですが、それでは何の体験にもならないので、極力勇気を出して(本当に勇気がいります。入居者の好奇の目に曝される訳ですから)、あらゆる所へ顔だし、あらゆるものを使ってみて下さい。特に大浴場は大抵パスしてしまいますが、ぜひ入って下さい。ほら、床が抜けかけているのも見えるでしょ。

では、体験入居者に、ホームはどう備えるのでしょう。(入居者談)
風呂場に、普通はボディ石鹸だけなのに、その日はシャンプーとリンスが現れ、次の日には消えた。
食事がいつもより、豪華だった。
前日の掃除がやけに丁寧だった。
ロビーにいつもたむろしている常連の入居者が、その日は姿を消した。

特に重大なのは最期のロビーの話です。ここは、今までは絶対聞けなかった内部の声が聞ける大事な場所なのです。食堂もそうです。一人ポツンと離れたところに座ってはいけません。なるべく話好きそうな人が固まっている場所に入り込み、人懐っこい感じで(その日だけの芝居でもいいから)、そこの良し悪し、入居の可能性を聞いてみて下さい。もしかすると「それは、あなたがご自分で決めることよ」という冷たい返事が返ってくるかもしれません。他の人に聞いてみても同じようなら、それはホームがそういう躾をしている疑いがあります。

このホームでは、見学の時でさえ、なぜか「隔離されている」ような感じが付きまといました。お昼御飯を食べるのも「ハエ取り」と2人だけ。テーブルもみんなから離れた場所に取りました。
ある時、ロビーにいた時、ハエ取りがちょっと離れたすきに、1人ポツンと座っている人が目の前にいたので、すかさず聞いてみました。
「ここはどうですか」
「あのね、ここの悪口は言っちゃいけないの」
そう言った後は、その人は口をきゅっと結び何も言わなくなりました。今思えば、「大変な人」だったのでしょうが、この言葉は「言えば悪口になるから……」という意味でしょうね。やはりそうか。ここでは外部のものに、中の話はしてはいけないという教育をしてるんだ。その機会を作らないように、いつも誰かが傍にいて見張っている。実際、ある人が、入居希望者とちょっと話をしていたところ、後で職員が飛んできて、「今何の話をしたんですか」と突っ込まれたとか。

ロビー以上に話しやすいのはお風呂場です。ここには、いかなるホームの人も入れませんから。ただし、こういう狭い場所に入居者が数人いる場合、言った悪口が誰かから洩れ、後で災難が降りかかる恐れがあるからと何も言わない可能性は十分あります。そういう点では、ロビーの方がいいのかなぁ。
要はタイミングの捉まえ方なんですけどね。希望者にも、これが上手な人と下手な人がいますから、難しい。

入居者と話をするのを嫌がるホームは、いいホームとは言えません。言われて困ることを抱えている証拠です。

私に「体験入居と言うのは、ここの設備を見るだけでなく、ここの生活を見ることです。このホームの様子なんかも入居者にどんどん聞いてみてください。」と言ったのがやはり例の営業マンでした。そこで私は食事時には必ずどこかのグループに潜りこみ、それとはなしにここの雰囲気を体で感じ、その人たちに馴染んでいきました。あまり長い期間に渡って私が時々泊まるので、「ボロベアさん、まだ入らないの?」「コーラス部が待ってまーす」と言う声援まで飛ぶようになりました。その明るい雰囲気。ここと何という違いでしょう。今でも懐かしい。

今まで全く見えなかった内部の様子が、やっと覗き見程度でも見られる唯一の機会。それが体験入居です。とにかく「見よう」という意気込みを持って下さい。そう思わなければ、見えているものも見ないで帰って来てしまいます。体験入居は偉いのです。 兵隊の位にすると……わかんない! とにかく体験入居に敬礼!

命令されて条件反射で敬礼しちゃったけど
誰も何も答えてくれなかったぜ。
どうしてくれるんだ、俺のプライド

ゴメンナサイ
でもあんたの顔も悪い
 敬礼

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borobear

Author:borobear
父が婚約者の母に贈ったイギリス製の熊。昔はピカピカに可愛く輝いていたのに、今や薄汚れてボロ熊に。私も老人ホームで薄汚れ。同じボロなら居直って、なりふり構わず踊らにゃそんそんという具合に、仲良く生きています。

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