スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

避難訓練

ある日、「これから避難訓練をします。指示に従って行動して下さい」という声がスピーカーから流れました。その年の3月11日には大地震があり、私は元のマンションで1人ウロウロ経験をした直後でしたから、「老人ホームという所はさすがしっかりしている」と感激し、普段の不真面目な性格を捨て、真面目に参加することにしました。
「今、揺れがきました! テーブルなどの下にもぐって下さい!」
潜りました。30秒もしないうちに、
「揺れが止まりました。非常口から避難します。各階の非常口に集まって下さい」

廊下に出て5階の非常口の前に行きました。5階には10部屋あります。ご夫婦もいますから人数にすると12人です。ところが、集まったのは3人だけでした。それに、非常口には鍵がかかり、出ることができないのです。窓から、しとしと降っている雨をぼんやり眺めていましたが、みんなで「帰ろか」と言いだした時、スピーカーが言いました。「これで訓練は終わります。ありがとうございました」
その声とともに、車椅子に乗せた老人を息せき切って運んできたヘルパーさんが到着しました。彼女が鍵も持っていたのです。老人を車椅子に乗せるのに手間取ったのでしょう。みんなシレッとした顔で部屋に戻りました。「雨だったからね」という人がいましたが、雨の日は訓練としては最高の機会だったのです。あの車椅子の老人を、どうやって雨の中、階段の下まで運べたか私は見たかった。無理じゃないでしょうか。地震は、天気予報を見て「今日は雨だから行くのはやめてやろう」などと言うほど親切ではありません。今日の訓練は、どこかへ出す報告書に「訓練実施済み」と書くためにやったのでしょう。


その後、もう一度、避難訓練がありました。今回は消防車まで来る本格的なものでした。今回も非常口でもたつきましたが、それでも一同列になって狭い石の非常階段を降りました。ところが、途中で動けなくなった人がでたのです。行くも戻るもできない。それに続いて降りていた人も、誰も動けない。4階辺りの階段に団子になってもがく姿を下から見上げていたホーム長や消防署員はどう見ていたのでしょうか。やっと下にたどり着いた時、消防署が言ったのは「よくできていた」と言う意味の言葉。ホーム長は「いろいろ問題点をしっかり見ました。これで訓練を終わります」。
周囲の人たちに「はい、これでみんな死んだね。おわり!」と言って苦笑させ、さっさと帰りました。消防署も消防署なら、ホームもホームだ。双方に真面目さが全く感じられない。私には、「訓練実施済み」という文字が欲しくてやった茶番劇に見えました。

ホーム長は「問題点を見た」と言いました。もし、これが真面目な訓練なら、解決策が立てられなければなりません。それをやったかどうかは、次の訓練で分かるでしょう。私は期待していませんが。


黒雲
私の胸に、このホームに対する不信感が湧きました。
この突然の黒雲は消えるでしょうか。広がって真っ暗になるのでしょうか

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

borobear

Author:borobear
父が婚約者の母に贈ったイギリス製の熊。昔はピカピカに可愛く輝いていたのに、今や薄汚れてボロ熊に。私も老人ホームで薄汚れ。同じボロなら居直って、なりふり構わず踊らにゃそんそんという具合に、仲良く生きています。

最新記事
カテゴリ
お知らせ
訳あって、今までコメントの受付をお断りしてきましたが、今後は「非公開コメント」に限り拝見させていただくことにしました。コメントの入力欄の「管理者だけに表示を許可する」にチェックを入れてください。よろしくお願いいたします。
検索フォーム
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。